記帳・税務相談について

富士吉田商工会議所では、経営指導のほかに記帳指導員等による小規模個人事業者の方への記帳などの相談・指導を行っています。帳簿の付け方や税金の申告の仕方などわからないことがあればご相談ください。

帳簿の記帳について

個人で事業や不動産貸付け等を行う全ての方(所得税及び復興特別所得税の申告の必要がない方も含みます。)は、記帳と帳簿書類の保存が必要です。
帳簿の記帳は、単に税金の計算を行うためだけでなく事業経営の合理化・効率化等の検討にも役立つものです。

記帳・帳簿等保存制度について

事業所得、不動産所得又は山林所得が生じる事業を行うすべての方は、帳簿を備付、これらの業務に係る取引を所定の方法により記録し、一定期間保存することが義務付けられています。
令和6年1月1日以降に行う電子取引(請求書や領収書などに関する電子データの送付・受領を電磁的方式により行う取引)については、その電子データを一定の保存要件に従って保存する必要があります。

記帳する内容

収入金額や必要経費に関する事項について、取引の年月日、相手方の名称、金額や日々の売上げ・仕入れの合計金額等を帳簿に記載します。なお、消費税の課税事業者となる方は、軽減税率の対象となる売上げ・仕入れがある場合、税率ごとに区分して帳簿に記載する必要があります。
記載事項については次のとおりです

区分 記載事項 区分 記載事項
売上 ①取引の年月日
②相手方の名称
③金額
仕入 ①取引の年月日
②相手方の名称
③金額
雑収入等 ①取引の年月日
②事由・相手方の名称
③金額
経費 給料賃金、外注工賃、減価償却費、貸倒金、地代家賃、
利子割引料及びその他の経費に区分して、それぞれの
①取引の年月日
②事由・支払先の名称
③金額
経費科目の一覧はこちら

正規の簿記による記帳

所得税の白色申告と青色申告の10万円控除では、簡易的な方法による記帳が認められていますが、青色申告で55万円又は65万円の控除を受けるためには正規の簿記による記帳が必要です。

記帳の開始準備及び帳簿組織の決定

55万円又は65万円の特別控除を受けようとする場合には、確定申告書に損益計算書と貸借対照表を添付し、提出期限までに提出することが必要です。そのため、正規の簿記による記帳は各年の1月から始めることになります。
そのため、今後、正規の簿記の方法に切り替える場合には、各年の1月から事業用財産とそれ以外とに区分して記帳するとともに、資産や負債の金額についても整理するなど、貸借対照表の作成を前提とした記帳を行い、具体的にどのような帳簿組織や記帳等が必要になるかを検討して、ご自分の事業実態にあった帳簿組織を決めることが必要です。

仕訳帳

仕訳帳は全ての取引の感情科目を決めるとともに、借方及び貸方に仕分けするための帳簿であり、取引の発生順に取引の年月日、勘定科目、金額等を記載します。

総勘定元帳

総勘定元帳は、全ての取引を勘定科目の種類別に分類して整理及び計算する帳簿であり、勘定科目ごとのに取引の年月日、相手科目及び金額を記載します。

仕訳の役割
帳簿の記帳は、仕訳から始まります。
事業活動によって発生する取引は、必ず資産、負債、資本(元入金)、収入及び費用のいずれかに分類されます。仕訳は生じた取引をどこの勘定科目に振り分けるかを決める役割を果たします。

借方と貸方
借方(左側)、貸方(左側)という用語に慣れないうちは、例えば次のように理解します。

資産
借方 = 増加 貸方 = 減少
負債
借方 = 減少 貸方 = 増加
資本(元入金)
借方 = 減少 貸方 = 増加
費用
借方 = 発生 貸方 = 取消
収益
借方 = 取消 貸方 = 発生

売掛帳

得意先ごとに口座を設け、商品などの掛売りや売掛金の回収の状況を記載する帳簿です。

買掛帳

仕入先ごとに口座を設け、商品などの掛買いや買い掛け金の支払い状況を記載する帳簿です。

経費帳

仕入れ以外の事業上の費用を、租税効果、水道光熱費、旅費交通費、給料賃金などの科目ごとに口座を設けて記載する帳簿です。費用の金額を現金で支払ったものとそれ以外のものとに区分して記載することになっています。

固定資産台帳

事業用の減価償却資産や繰延資産について、原則として個々の減価償却資産ごとに口座を設けて、資産の取得及びその異動に関する事項などを記載する帳簿です。

預金出納帳

事業用の預金の出し入れの状況を取引順に記載する帳簿です。

事業主貸の役割

次のような必要経費にならない火事上の支出や家事消費などは「事業主貸」という科目で整理します。

  • 事業用の現金を生活費として家計に渡した金額
  • 決算整理において、家事関連費の中から家事分として必要経費から除いた金額
  • 決算整理において、家事用として使用する建物や自動車について、家事分として減価償却費から除いた金額
  • 事業用固定資産を売却(譲渡所得に該当する場合)し、譲渡損が出た場合のその金額など

事業主借の役割

次のような事業主から受け入れた事業資金や預金利息などの事業以外の収入は、「事業主借」という科目で整理します。

  • 事業主の家事上の現金等で支払った事業上の必要経費
  • 事業用預貯金の利息
  • 事業用固定資産を売却(譲渡所得に該当する場合)し、譲渡益が出た場合のその金額など

元入金について

元入金は法人企業でいう資本金に当たります。

  • 期末(12月31日)の元入金の金額は、期首(1月1日)の元入金と同額です。
  • 翌期首(翌年分の貸借対照表の1月1日)の元入金は、次のように計算します。
翌期首の元入金=期末の元入金+青色申告特別控除前の所得金額+事業主借ー事業主貸

※1 翌期首の元入金は、翌年分の貸借対照表の期首の資産総額から期首の負債総額を差し引くことによって求めることができます。
※2 事業開始初年度や白色申告から青色申告に変更した初年度の元入金については、資産の部の現金、預金又は車両運搬具等の減価償却資産(未償却残高)などの合計となります。

帳簿・書類の保存

収入金額や必要経費を記載した帳簿のほか、取引に伴って作成した帳簿や棚卸表、請求書、領収書などの書類を下表のとおり保存する必要があります。

青色申告の場合

保存が必要なもの 保存期間
帳簿 仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など 7年
書類 決算関係書類 損益計算書、貸借対照表、棚卸表など 7年
現金預金取引
等関係書類
領収書、小切手控、預金通帳、借用証など 7年(※)
その他の書類 取引に関して作成し、又は受領した上記以外の書類(請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など) 5年

※前々年分の事業所得及び不動産所得の金額が300万円以下の方は5年

白色申告の場合

保存が必要なもの 保存期間
帳簿 収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿) 7年
業務に関して作成した上記以外の帳簿(任意帳簿) 5年
書類 決済に関して作成した棚卸表その他の書類 5年
業務に関して作成し、又は受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類

※令和4年以降、前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が300万円超の方は、その業務に係る現金預金取引等関係書類を5年間保存する必要があります。

  • 「記帳・帳簿等の保存制度」や電子取引データの保存方法を含む「電子帳簿等保存制度」の詳細については、国税庁ホームページをご覧ください。
    →個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について(国税庁)
  • 令和5年分の確定申告に対する修正申告等から、売上げに関する帳簿を保存していなかったことや帳簿の売上げについて記載が不十分であったことなどが税務調査において把握された場合には、帳簿に記載すべき事項に関する申告漏れに対して通常課される加算税(過少申告加算税・無申告加算税)の割合に5%又は10%が加重されることになりました。
    →電子帳簿等保存制度特設サイト(国税庁)

個別相談

記帳相談などを以下の通り実施しています。

相談内容 日程 場所
記帳相談 毎月20日(休日の場合は翌営業日) 富士吉田商工会議所
源泉所得税納付相談会 前期:7月上旬(2日間)
後期・年末調整:翌年1月中旬(3日間)
富士吉田商工会議所
確定申告相談会 翌年2月中旬(2日間)
翌年3月上旬~14日(8日間)
富士吉田商工会議所
消費税相談会 翌年3月下旬(3日間) 富士吉田商工会議所

※時間はいずれも午前10時~12時と午後1時から4時までとなります。
※12時~1時はお昼休みです。
※正確な日程については別途、相談会日程をご確認ください。

記帳継続指導

記帳指導員が継続指導いたします。(指導対象は、個人事業者となります。)